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【参考資料】マジャール・ネムゼット紙に掲載された「ダボス時代の新共産主義」2021年3月1日

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【参考資料】マジャール・ネムゼット紙に掲載された「ダボス時代の新共産主義」2021年3月1日

この記事は、2021年3月1日にマジャール・ネムゼット紙のオンライン版に掲載されました。「マジャール・ネムゼット」(Magyar Nemzet)は、ハンガリーの主要な日刊紙です。1938年に創刊されたマジャール・ネムゼット(ハンガリー国民)は、ハンガリーの保守派が参考とする保守系新聞で、ヴィクトル・オルバン首相率いる現ハンガリー政府に近い立場にあります。フランス革命を準備した啓蒙主義の論理的結論として行きつく先として、新しい共産主義的な新世界秩序が樹立しつつあるとの警告です。

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ひねくれたイタチ【ずるい者】にしろ、単なる愚か者にしろ、無知なリベラル派は、いまだにディープ・ステートや隠された権力などは存在しないと必死に大衆に信じ込ませようとしている。一方、あまりにも現実である隠されたネットワークは、2020年に戦略を変更して、それを世界に公表した。

世界経済フォーラム(WEF)の創設者であるクラウス・シュワブは、昨年5月のダボス会議で、チャールズ英皇太子とともに「グレート・リセット」を発表した。

この新たな始まりは、現在の世界秩序の基盤およびルールを置き換え、作り変えることにほかならない。彼らの見解によれば、現在の形態の資本主義は人々の福祉に貢献していないため、環境を保護し、社会的不平等を減少させるような新たな種類の資本主義を構築しなければならないという。

グレート・リセットは、新型コロナウイルス感染症後の時代に新世界秩序をもたらすものであり、それは政治的、イデオロギー的、経済的なまとまりを意味し、また、国家のない世界を意味する。

シュワブやその他多くの人々の発言から、彼らの大きな計画は、マルクスとエンゲルスの偉大な夢である、ある種の国境を越えた国際的な支配体制の下で世界的な共産主義を導入するものであることが分かる。(これは正確にはプロレタリア独裁とは呼べない。ロスチャイルド一族からビル・ゲイツに至るまで、世界のエリートのメンバーはプロレタリアとは言えないからだ。「プロレタリア」という言葉を「エリート」に置き換え、「独裁」を残し、エリート独裁とすることで、われわれは真実に近づき始める。)

これらの隠された権力は、今、その姿を現し、前面に出てきている。そのため、メインストリーム(主流)の、政治的に正しい(politically correct)とされるナラティヴが、いままで"錯乱した幻想"というレッテルを貼っていたことは、今ではこれらの紳士たち自身の言葉で、つまりこれらの大きな野心を持った権力者たちの最前線で(au premier plan)見ることも、読むことも、聞くこともできるのだ。もちろん、彼らはシュワブが最大の善意と慈善活動に関心を持っていると言い続けるだろうが、こうしたマントラにはあまり価値はない。少なくとも、彼らはこの「グレート・リセット」から利益を得る立場にあるからだ。

それよりも、もっと注目すべきなのは、クラウス・シュワブが、新「トランスヒューマニズム」世界秩序という目標についてインタビューで語った多くことの裏にある意味である。

第一に確認しておきたいのは、次のことである。グローバル・エリートの最重要の目標が、国民や国民国家を解体し、包括的で大規模な世界政府を創設することであり、それによって、社会的不平等、気候変動、持続可能でない成長、移民などの問題を処理し、解決しようとするのは、もはや疑いのないものだということだ。

もちろん、世界のエリートたちは長い間、これについて準備をしてきたのである。著名な人物が何十年も前からこのことについて語ってきた。

1970年代から80年代にかけて、元米国務長官・大統領補佐官のヘンリー・キッシンジャーがハーバード大学で講義を行い、経済のグローバル化の次は政治のグローバル化だと言っていた。この講義をクラウス・シュワブは50年ほど前に聞いていたのだ。また、ブレジンスキー元米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は主権国家の終焉を説き、デヴィッド・ロックフェラーは世界政府の必要性に言及し、ブッシュ米大統領(父)は1990年の演説で新世界秩序を宣言した。つまり、彼らは本当に目立たない「陰謀の生みの親」なのである。

第二に、シュワブのこれまでの発言や、昨年7月に発売された著書「グレート・リセット」(ティエリ・マルレとの共著)から推測されるのは、彼らが世界統治形態(global governance)を、「市民社会も市場も政府も問題を解決できない」という考えに基づいた、ある種のユニークで新しい複合的なシステムと考えているということだ。

そのため、彼らが考える解決策は、企業と政府が「効果的に互いにコミュニケーションをとる」ことである。これは、グローバル市場の主要企業が、各国政府からこれらの「困難な任務」を徐々に引き継いでいくということにほかならないと私は思う。

また、83歳のシュワブが率いるWEF(世界経済フォーラム)の指導者たちを見てみると、ブラックロックやブラックストーンのCEO、カーライル・グループのデヴィッド・ルビンシュタイン会長、中国最大の富豪ジャック・マー、さらには国連、IMF、欧州中央銀行のリーダーなど、巨大企業や大富豪が名を連ねている。WEFがグローバル・エリートのネットワークにとって不可欠な結節点、(理論物理学者アルベルト・ラースロー・バラバーシの概念を用いるなら)「ノード」であることは疑いの余地がない。しかし、もちろん、米外交問題評議会やビルダーバーグ・グループなど、他のノードとも密接に動いている。私がここで言いたいのは、この巨大な再起動は、クラウス・シュワブとその友人たちの個人的な努力だけではなく、継続的な会話、合意、承認が先に存在していたということだ。

「国家時代」以後の、国家を超えた統治形態に話を戻すと、彼らの対話や発言から明らかなように、彼らは実際に、伝統的な各政府とグローバル市場の各層を統合し、民間の企業が補完する、複雑でグローバルな権力の秩序を構想している。既存の制度的・機能的な国境線は解消され、一種の共同管理あるいは共同支配が形成されるだろう。当然ながら、繁栄や健康、世界平和といった「ヒューマニスト」の目標のためにだ。

もう少し掘り下げてみると、これらの大物たちは、民主主義を複雑な統治形態に置き換え、選挙や国会議員よりも技術官僚制(technocracy)を優先させ、透明性の代わりに一般市民には理解できない「専門知識」(expertise)を重視しようとしているという事実に、すぐに気づかされる。

第三に、シュワブが「プロジェクト・シンジケート」(ジョージ・ソロスが所有するウェブサイトでもある)で、グレート・リセットを確立するために新しいイデオロギーは必要なく、単に「より回復力があり、結束力があり、より持続可能な世界に向けた実用的なステップ」を踏めばいいと説明していることは注目に値する。

私に言わせれば、[グレート・リセットを確立するために]必要なのは、新自由主義であり、社会・社会主義版の新自由主義(正確には新共産主義)の「新しい波」だ。言い換えれば、共産主義的自由主義が確立されるべきだと思える。(また、不幸な運命を迎えたハンガリーの詩人アティッラ・ヨージェフ Attila József の1936年の言葉を引用すればこうなる。 Talán dünnyögj egy új mesét, fasiszta kommunizmusét 「きっと君は新しい物語をはなすだろうね。ファシズム的な共産主義の話を。」)

そして、社会主義・共産主義的な自由主義がすべての人に受け入れられた後は、専門的・科学技術的・環境保護的な(technical- technological-ecological)問題や危機に対処するだけである。つまり、、実用主義であり、これはフクヤマの「歴史の終わり」という説の温めなおしとも考えることができるだろう。あるいはマルクスかもしれない。彼の共産主義の考えは、この世の問題はある日全て解決されることになっており、その暁には、各々は自分の必要に応じて配給を受け取り、人々は狩りをしたり、釣りをしたり、あるいはもしも好むなら、批判の批判において活動するだろう。皆が平等で、皆が幸せになるだろうということだ。

第四に、シュワブが表明するようなグローバル・エリートが設定した目標の中には、デジタル化、ロボット化、人工知能の時代に適応して人間の地位が変革しなければならないという考えがある。
すでに2016年に、シュワブはその著作「第四次産業革命 ダボス会議が予測する未来」(Shaping the Fourth Industrial Revolution)の中で、新たな巨大IT企業(new tech giants)が使用する技術によって、政府は私たちの心という(今まではプライベートだった)私的領域に侵入し、私たちの考えを読み、私たちの行動に影響を与えることができ、その結果、私たちの物理的世界の一部にもなると書いている。シュワブは、ラップトップパソコンやバーチャルリアリティー・ヘッドセットのような今日の外部デバイスが、いずれ「ほとんどの場合、われわれの身体と心に埋め込むことができるようになる」と予測している。そしてシュワブは、こう結論づける。「第四次産業革命が導くところは、私たちの物理的、デジタル的、生物学的なアイデンティティーが統合して一つになることだ」。

本当の陰謀論者を紹介しよう。クラウス・シュワブである。残念なことに、彼は実際には陰謀論者ではなく、むしろ陰謀家の方なのだ。リベラル派の皆さん、このことをよく考えてもらいたい。しかし、その目標が本当に「[オルダス・ハクスリー流に言えば] 新共産主義の)すばらしい新世界」であることを疑問に思わないようにするために、WEFのユニークなCMで語られているスローガン(あるいは、むしろその中のいくつかの内容)も引用しておこう。
「2030年へようこそ。私は何も所有せず、プライバシーもありません。そして人生はかつてないほど素晴らしいものになりました!」
「あなたは何も所有しません。そして、あなたは幸せになります」
「あなたが欲しいものは何でも借りられます。そしてそれはドローンで配達されます」
「気候変動によって10億人が立ち退くことになるでしょう」
「難民の受け入れと統合をもっとうまく行わなければなりません」といった具合だ。

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こういった偉い人たちは私たちのために最善を尽くそうと思っている。これこそが、私たちが恐れるべき正当な理由であり、そしてまた、ようやく目覚めるべき正当な理由なのである。

タマシュ・フリッチ(Tamás Fricz):筆者は政治学者であり、【ハンガリーの首都ブダペストにある】基本的権利センター(Center for Fundamental Rights)のリサーチ・アドバイザーである。

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