童貞聖マリアの浄配である聖ヨゼフについての説教
ドモルネ神父(2022年3月13日四旬節第二主日)
はじめに
今度の土曜日、3月19日には、童貞マリアの浄配の称号における、聖ヨゼフの祝日をお祝いします。この祝日は、カトリック教会の守るべき10の祝日の一つです。この童貞マリアの浄配という称号は、聖ヨゼフの主たる称号です。この称号は、聖ヨゼフが、他のすべての聖人、さらには、天使よりも偉大であることの基礎となるものです。ですから、今日は、この称号についてお話しします。
1.聖ヨゼフの召命
天主が人をある使命に召されるとき、天主はその人に、その使命を完璧に果たすための手段をお与えになります。そうでなければ、天主は不公平なお方ということになってしまうことでしょう。例えば、私たちの主イエズスは、世界中に主の福音を宣教するように、使徒たちを召されました。使徒たちのほとんどは、平均的な教育を受けた素朴な人々でした。イエズスは、使徒たちを、並ぶ者のない全世界の教師とする恩寵と賜物を、彼らにお与えになったのです。
天主は、聖ヨゼフを、ある使命に召されました。この使命は、一般的に言えば、童貞聖マリアを物質的にも精神的にも保護し、支えることでした。聖ヨゼフが、マリアの終生童貞の証人かつ保護者となることでした。また、姦通で訴えられる恐れからマリアの評判を守り、エジプトへの逃避の間は、マリアを保護し、日常生活においては、マリアを支えることでした。最後に、聖ヨゼフが、父なる天主の代理として、イエズスに対して、父としての権威を行使することでした。聖ヨゼフがこの使命を果たすことができるように、天主は、真の結婚によって、聖ヨゼフを童貞聖マリアと結ばせることを、お決めになりました。
2.聖ヨゼフと童貞聖マリアの間の財産の共同体
結婚とは、結婚の目的のための、男と女の間の契約です。夫婦は、互いに心と体と霊魂を与え合います。この契約からただちに表れる効果は、夫婦の間に財産の共同体が確立されることです。この共同体は、あきらかに、天主によって確立されるものです。「人は…その妻と合い…それゆえ、もう二人ではなく一体である。人は天主が合わせられたものを離してはならぬ」(マテオ19章5-6節)。この共同体は、物質的な財産だけではなく、二人の人間そのものにも及びます。夫は、妻を「自分の」妻と呼び、妻は、夫を「自分の」夫と呼びます。天主は、聖ヨゼフと童貞マリアを、真の結婚で結ばれました。聖ヨゼフは、マリアを、真に「自分の」妻と呼ぶことができたのです。さて、童貞マリアが、どのようなお方であるかを思い起こすことにしましょう。
マリアは、天主であるイエズスの御母です。この母性による絆によって、マリアは、聖三位一体の各ペルソナと、非常に密接なつながりをもつことになります。マリアは御子の御母であり、御父の娘であり、聖霊の浄配です。マリアは被造物に過ぎませんが、被造物として可能な範囲で、最も天主と結ばれたのです。したがって、こうも言えるでしょう。「天主は、いまより偉大な世界、いまより偉大な天国を創造することはおできになったが、童貞マリアより偉大な母を創造することはおできにならなかったのである」(ザクセンのコンラド)。マリアは、三位のペルソナと親密であったために、恩寵と美の充満を受けられました。天主は、聖書の中で、マリアについてこう言っておられます。「私の愛する者よ、あなたはすべてが美しく、何の汚れもない」(雅歌4章7節)。結婚によって、この創造の傑作である童貞マリアは、聖ヨゼフに委ねられたのです。聖ヨゼフは、真に、こう言うことができました。「最も清らかで、最も愛してくださり、また最も愛すべきマリアの御心は、私のものである」。(シエナの聖ベルナルディーノ)。
3.聖ヨゼフの偉大さ
天主は、ご自分の傑作である童貞マリアを、結婚という親密な絆によってお委ねになる相手が、誰でもよかったわけではないことは、明らかです。天主が望まれたのは、恩寵と聖徳において、童貞マリアに最も似た人でしかありえませんでした。ですから、天主は、聖ヨゼフを、童貞マリアに最もよく似た人とされたのです。創世記の中で、天主は、こう言われます。「人間が一人きりでいるのは良くない。私は、彼に似合った助け手を与えよう」(創世記2章18節)。そして、アダムのために、エワを創造されました。しかし、マリアとヨゼフについては、その逆です。聖ベルナルドは、こう言っています。「ヨゼフは、妻である童貞マリアに似せて造られた…聖ヨゼフはマリアの夫であったというだけで、十分である。聖ヨゼフは、顔立ち、心、心構え、習性、また聖徳、聖性が、童貞マリアに似ていると言えば、それが、すべてを語っているのである。聖ヨゼフは、義人として、最も偉大な聖人たちよりも聖なる人である。聖ヨゼフは、夫として、すべての天使たちよりも偉大である。それは、聖ヨゼフの妻が天使たちの元后であるがゆえに、聖ヨゼフは、天使たちの王であるからである」。聖ヨゼフの尊厳の源泉は、童貞聖マリアの尊厳なのです。
結論
すべての被造物の中で、聖ヨゼフ以上に、童貞マリアに密接につながっていた人はいませんでした。聖ヨゼフ以上に、童貞マリアの偉大さを理解した人はいませんでした。したがって、聖ヨゼフ以上に、童貞マリアを、心から深く愛した人はいませんでした。そして、そのお返しに、私たちの主イエズスは別として、聖母が、夫の聖ヨゼフ以上に、愛された人はいませんでした。聖母が、聖ヨゼフ以上に、恩寵と特権を取り成してくださった人はいませんでした。聖母が、聖ヨゼフ以上に、信頼して自らをお委ねになった人はいませんでした。
ですから、天の御母に倣いましょう。私たちも、聖ヨゼフを愛しましょう。聖ヨゼフを讃美し、その聖徳に倣い、あらゆる必要について、信頼をもって、聖ヨゼフのもとに行きましょう。しかし、次の土曜日に、私たちが聖ヨゼフに願い求める特別な恩寵は、より心からの、より深い、より完全な、童貞聖マリアに対する愛です。これこそが、私たちが、死ぬまで、私たちの主イエズスに忠実であり続けるための最高の保証です。
去年の3月19日、私たちは、私たちの修道院と使徒職を、聖ヨゼフに奉献しました。土曜日のミサの後、この奉献を更新します。実際に、あるいは霊的に、ぜひこの奉献に加わってください。