ヴィガノ大司教:ロー対ウェード判決は「人間の生命の尊厳」を擁護する「歴史的な好機」である
Abp. Viganò: Roe decision is a ‘historic opportunity’ to defend the ‘sanctity of human life’
by カルロ・マリア・ヴィガノ大司教
2022年6月27日 米東部標準時夏時間午前6時12分
(LifeSiteNews)6月24日、米最高裁は、1973年の「ロー対ウェード」判決を覆し、憲法の傷(vulnus)を癒やすと同時に、約50年ぶりに各州に主権を回復させました。
この最高裁の判決は、主流派の物語(ナラティブ)が主張するような「中絶の権利」を覆したのではなく、むしろ中絶の「すべての州での義務的な合法化」を覆し、「中絶という深い道徳的問題」についての決定権を、「ロー対ウェード」判決が米憲法の規定に反して奪った「国民と国民が選んだ代表」のもとに戻したのです。
こうして、中絶推進ロビーのメンバーによる悪意ある判決文草案のリークに始まった最高裁判事たちへの威嚇の試みは失敗しました。それはちょうど、ジョージ・ソロスのオープン・ソサエティー財団から資金提供を受けた過激派の運動や団体に煽られた、民主党左派の死のレトリックが失敗したようにです。また、西洋世界の各国の政治家や首脳の宣言は言うまでもなく、バラク&ミシェル・オバマからヒラリー・クリントン、ナンシー・ペロシからチャック・シューマー、メリック・ガーランド司法長官からジョー・バイデンといった自称リベラル派の反応がいかに激しく、不寛容であるかを目の当たりにするのは重要なことです。
実は、この判決の重要性を人々に理解させるには、次のようなものを見れば十分なはずです。
「プロチョイス」グループの行った攻撃、プロライフ団体への襲撃、教会への冒涜、胎児の無垢な命を殺す権利の支持者の一部によるヒステリーの場面、政府が資金提供している家族計画連盟(Planned Parenthood)に資金提供されている民主党のメンバーの結束を象徴するような光景。目覚めた (Woke) 左翼。クラウス・シュワブのグローバリズムの信奉者。国際フリーメーソンのメンバー。グリーンチェンジと人口減少のイデオロギー信奉者。ジェンダー論やLGBTQ+イデオロギー、虹色の旗の宣伝者。中絶を礼拝の「儀式」の一つとする悪魔教会の信者。死のクリニックからの人間の胎児を採取・販売する者。人間の胎児から作った「ワクチン」を販売する者、パンデミックの茶番劇とそのグロテスクな「専門家」たちを支持する者。彼らはみな、自分たちの文化の覇権が今、脅かされると認めています。その覇権は、1973年から米国で6300万人の子どもたちの死を引き起こし、政治的正しさ(politically correctness)のモロク神に人間のいけにえを捧げたのです。
あらゆる科学的エビデンス(証拠)に反して実験的な遺伝子治療を国民に押し付けることで、人間の体に対する組織的侵害を自らの思想的旗印としたグローバリストの世界は今、その衣を引き裂いて【怒り狂って】、女性が自分の体を自由にできる権利と母親が胎内に宿す生命を殺す権利を主張しています。
破壊的な犯罪者のエリート集団が権力を掌握して、国家や国際機関の権力の頂点に登り詰めたこのグローバリズムの世界は、ドナルド・トランプ大統領に最近任命された人々を含む賢明な判事たちによって下された歴史的な判決のおかげで、今や米国を支配できなくなりました。人間の生命の尊厳を守ることに尽力したこの判事たちは、今日米国および米国を模倣すべきモデルとする人々にとって大きな勝利を達成したのです。米国の多くの州はすでに中絶を違法と宣言しており、最高裁の判決のおかげで、ようやく胎児の権利を認め、保護することができるようになります。
バチカン広報局や米国司教協議会は、この歴史的な日について、恥ずべき義務であるかのように、疑いを抱かせるような控えめの態度で反応しています。ベルゴリオは沈黙していますが、ドナルド・トランプを攻撃したり、ヒラリー・クリントンやジョー・バイデン、民主党候補を支持したりするときは、とても饒舌でした。
天主なき世界の死のイデオロギーに対する善の勝利を前にした彼の沈黙は、いわゆるワクチンや国連のアジェンダ2030を支持するベルゴリオの教会のプロパガンダを、今でも繰り返しています。
国連は、まさに1973年の「ロー対ウェード」事件以来、各国に押し付けられてきた「性と生殖に関する健康」(reproductive health)の主唱団体の一つです。また、ヨハネ・パウロ二世が設立した教皇庁生命アカデミーが、中絶や避妊に賛成する悪名高いメンバーを加えることで、この10年間でいかにひどい状態になったのかも忘れてはなりません。
このようなトランプ大統領への憎悪と、ディープ・ステートとの繋がりや利害関係を持つディープ・チャーチのネットワークは、とりわけベルゴリオの教会の大きな矛盾を明るみに出しています。彼の教会は、政治家と高位聖職者の双方を巻き込んだ経済的・性的スキャンダルが出続ける中でさえも、世界の大金融会社や製薬会社との取引に尽力しているのですから。
教会がイエズスの至聖なる聖心の祝日と、母エリザベトの「胎内でおどった」(ルカ1章41節)洗者聖ヨハネの誕生も祝うこの日、主は米国に自らをあがなう可能性をお与えになり、その人の作った法が、創造主によってすべての人の心に刻まれた自然法に一致するのを確実にしたいと望まれました。そして、これこそが、国家が天によって祝福されるために、「天主の下の一つの国家(One Nation under God)」に、必要な本質的基盤なのです。
米国民がこの歴史的好機を大切にする方法を知るようになること、また彼らが、中絶の権利が認められているところには正義はあり得ないこと、自らの子どもたちを虐殺する社会には平和と繁栄はあり得ないこと、放埓、悪徳、高慢が天主の掟を破壊するところには自由はあり得ないことを理解するようになることを、私は望んでいます。
+カルロ・マリア・ヴィガノ大司教(前駐米教皇大使)
2022年6月24日 至聖なるイエズスの聖心
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