聖ピオ十世の公教要理 秘跡の部 第三章・堅振
578 堅振の秘跡とは何ですか。
堅振とは、聖霊を授け、霊魂にイエズス・キリストの兵士としての印章を刻み付け完全なキリスト信者にする秘跡です。
579 どうして堅振によって完全なキリスト信者になるのですか。
堅振によって完全をキリスト信者になるのは、信仰がかためられ、洗礼において受けた徳と賜物を一層ゆたかに授けられるからで、堅振という名称もそこに由来します。
580 堅振において受ける聖霊の賜物とは何ですか。
堅振において受ける聖霊の賜物とは、上智、聡明、賢慮、剛毅、知識、孝愛、敬畏。
581 この秘跡の質料は何ですか。
この秘跡の質料は、司教による接手と受ける人の額にする聖香油の塗油です。
582 聖香油とは何ですか。
聖香油とは、司教が聖木曜口に香(バルサム)を混ぜて聖別したオリーブ油のことです。【カトリック教会の全歴史を通じて一致している聖伝により、唯一オリーブ油だけを堅振の秘蹟の質料として使用している。しかし、1972年11月30日、パウロ六世は全ての植物油の使用を認可したので、秘蹟の有効性に対する疑念はより深刻なものとなった。】
583 この秘跡に用いられる油と香は何を示しますか。
この秘跡で注がれる油は、聖霊の恩寵がゆたかに注がれ、信仰をかためることを示します。一方、香り高く、腐敗することのない香は、堅振を受けた人が、恩寵に強められ、キリスト教的な徳の香りを放ち、悪徳による腐敗から逃れることを示します。
584 堅振の形相は何ですか。
堅振の形相は、「われなんじに十字架のしるしをなし、聖父と聖子と聖霊とのみ名によりて、救かりの聖香油をもってなんじに堅信を施す」です。[N., I sign thee with the sign of the + Cross and I
confirm thee with the Chrism of salvation. In the name of the + Father and of the + Son and of the Holy + Ghost.]
【1971年8月15日には「たまものである聖霊のしるしを受けなさい」N., be sealed with the Gift of the Holy Spirit. + ということばに変わった。この新しい「形相」は東方教会の堅振(chrismation)の形式文から来るとされる。】
585 堅振の秘跡を授けるのはだれですか。
通常、堅振の秘跡を授けるのは司教だけです。
586 どのようにして堅振の秘跡を授けますか。
堅振の秘跡を執行するには、司教が最初に受堅者たちの上に手を延ばし、聖霊を呼び求めます。次に司教は、それぞれの額に聖香油を十字架のしるしをして塗りながら、形相のことばを唱えます。それから司教は堅振を受けた人のそれぞれのほおを右手で軽く打ちながら「あなたに平和あれ」と言います。最後に司教は堅振を受けた人をすべて荘厳に祝福します。
587 なぜ額に塗油しますか。
額は恐れと恥しさのしるしのあらわれる部分ですから、額に塗油するのは、堅振を受ける人がキリスト信者の名と身分を恥じないだけでなく、信仰の敵を恐れることがないようにという意味です。
588 堅振を受ける人の頬を軽く打つのはなぜですか。
堅振を受ける人の頬を軽く打つのは、イエズス・キリストヘの信仰のために受ける屈辱や労苦をおおしく耐え忍ぶべきことを教えるためです。
589 信者はみな堅振の秘跡を受けなければなりませんか。
信者はみな堅振の秘跡を受けなければなりません。また、目下の人にも受けさせるようにしなければなりません。
590 堅振の秘跡は何才のとき受けるのが望ましいですか。
堅振の秘跡は七才ぐらいのとき受けるのが望ましいでしょう。それは七才ぐらいになれば、誘惑を感じ始めるのが普通である上に、秘跡の与える恩寵についても充分自覚でき、秘跡を受けたことをあとになっても憶えていることができるからです。
591 日本では何才頃授ける習慣になっていますか。
日本でも、物事をわきまえる年令になってから授けられますが、成人の場合は、受洗後、機会のあるときに受けることができます。
592 堅振を受けるにはどのような準備が必要ですか。
堅振を受けるには、成聖の恩寵をもち、信仰の主要な奥義をよく学び、尊敬と信仰心をもつ必要があります。
593 堅振を二度受けると罪になりますか。
堅振は霊魂に印章を刻み付ける秘跡の一つですから、一度だけしか受けることはできません。二度受ければ汚聖の罪を犯すことになります。
594 堅振で受けた恩憲を保つために何をすべきですか。
堅振で受けた恩寵を保つためには、祈りの精神を持ち、善業を行ない、世間体を気にせずにイエズス・キリストの掟に従わなければなりません。
595 なぜ堅振にも代父母がありますか。
それは、代父母がことばと模範によって、堅振を受ける人に救いの道を歩ませ、霊的な闘いにおいても助けるためです。
596 代父母になる条件は何ですか。
代父母は、役目にふさわしい年令に達している堅振を受けたキリスト者で、キリストの教えを知り、キリスト教的な模範的な生括を送る人でなければなりません。
597 代父母と堅振を受ける人との間に親族関係が生まれますか。
代父母と堅振を受ける人との間には、霊的な親族関係が生まれますが、婚姻の障害にはなりません。
「幼児洗礼そして堅振について」:聖ピオ十世会司祭 レネー神父様 - Credidimus Caritati 私たちは天主の愛を信じた