2023年1月14日修道院ミサ 説教
聖父と聖子と聖霊の御名によりて、アーメン。
愛する兄妹姉妹の皆様、今日は聖ヒラリオ証聖者司教教会博士の祝日です。
聖ヒラリオというのはどういう方だったのでしょうか。私たちに一体何を教えているのでしょうか。
太陽はフランスのアキテーヌ地方の貴族に生まれました。幼い頃から信仰に熱心で、そしてしばらく結婚生活をしていたのですが、そのうちに一人で修道生活を始めました。あまりにも教えについて深い知識と教養とを思っていたので、すぐにポワチエの司教から司教になってほしいと言われ、それを受けることになりました。
特にこの時代には、アリウス派の異端が非常にヨーロッパで盛んだった時です。
聖ヘロニモという教会博士によると、ヨーロッパがあるとき目が覚めた時には世界中がアリウス派の手に落ちていたと言われるほど、アリウス派の異端が広まってしまっていました。
アリウス派の異端というのは何かというと、「イエズス・キリストは立派な人だけれども、単なる人だ。天主の子だと言われるけれども、これは譬えに過ぎない。イエズス様は最高の人間であるにすぎない。」という異端です。現代でもよく聞くような話です。
しかし、カトリックの教えはそうではありません。カトリック教会は、イエズス・キリストは、まことの天主の御ひとり子であって、人となったまことの天主である。まことの天主、まことの人である。天主が人間となった時に、天主であることを止めたわけではない。また半分だけ天主、半分だけ人間ではなくて、完全なる天主であって、同時に完全なる人間である。最も聖なる方であって、そして私たちとはたった一つだけ、たったひとつだけ、罪がないということだけしか違いがない。人間としては罪がないということでしか違いがない、と教えています。
聖ヒラリオはこの教えを守りました。そして、アリウス派に対して、公然と立ち向かいました。三位一体に関する本を12冊書きました。
ところが、その時にローマ皇帝は――その時のローマ皇帝はコンスタンツという人で、アリウス派の手に落ちた人でした――そのために、もしもアリウス派に与(くみ)しなければ全ての財産を没収されて、そして追放の身になりました。そして乱暴な残酷な取り扱いも受けました。聖ヒラリオはそれを喜んで受けて、決してまことのカトリックの信仰を捨てない!と毅然として立ち向かいました。そのため多くの迫害を受けて、国外追放にも遭いました。
国外追放に遭った時、ある教会会議にどうしても出席するように強制させられ、そしてその時にアリウス派の司教たちの現前で、正統信仰を守りました。そしてアリウス派たちを論破しました。あまりにも博学で、あまりにも雄弁で、あまりにも聖徳が高い司教だったので、アリウス派の司教達でさえも、この男はあまりにも立派だから司教にさせないのはもったいない、追放させておくのはもったいないと言って、結局ガリアのもとのポワチエの司教として戻ることになりました。
そして戻るや否や、やはりアリウス派に対する異端の撲滅のために、昂然として立ち向かい、そしてついに368年、平和のうちに霊魂を天主に返したのでした。
聖ヒラリオは、私たちにいったい何を教えているのでしょうか。ちょうど今現代、新しいアリウス派が、イエズス様がまことの天主であるということを否定するような教えが、異端が、全世界に広まっている現代、私たちも聖ヒラリオの御取次ぎを請い願いましょう。
願わくは聖ヒラリオのその精神、その模範とその御取次で、私たちも私たちの出来る限り、イエズス様がまことの天主、人となったまことの天主であるということを証言することができますように。
そのために私たちは馬鹿にされるかもしれません。のけ者にされるかもしれません。そのために私たちは友達を失ってしまうかもしれません。しかし、イエズス様との友情を失うより、イエズス様を失うことと比べると、一体それが何でしょう。聖ヒラリオがやっていたように、私たちも、私たちの祈りと生活の模範と、そして出来る限り私たちの知っている知識で、イエズス様の聖性を証明する御恵みを請い願いましょう。
周りの方々がカトリックの信仰を持ちますように、また最後に聖ヒラリオのような聖なる博学な、そして剛毅のある司教様が私たちに与えられますように、司祭たちが与えられますように、お祈りいたしましょう。マリア様の御取次をお願いしましょう。