アヴェ・マリア・インマクラータ!
愛する兄弟姉妹の皆様、
サムエルの書(上)第二章を、ラテン語のブルガタ訳、光明社の訳、バルバロ神父訳の対訳でご紹介いたします。
天主様の祝福が豊かにありますように!
トマス小野田圭志神父(聖ピオ十世会司祭)
Vulgata
光明社
バルバロ訳
Capitulum 2
第2章
サムエルの書上 第2章
1 exultavit cor meum in Domino exaltatum est cornu meum in Domino dilatatum est os meum super inimicos meos quia laetata sum in salutari tuo
「わが心は主によりて喜び、わが角はわが天主によりて高し。わがロはわが敵に對して開く、そは我、汝の救濟によりて樂しめばなり。
アンナはこう祈った、「私の心は主において喜ぶ、主によって私は額を上げた。私は敵に向かって口を開き、主の救いに私は喜び踊る。
2 non est sanctus ut est Dominus neque enim est alius extra te et non est fortis sicut Deus noster
主の如く聖なる者はあらす、蓋し、汝を除きて他になく、我等が天主の如く強き者なければなり。
主ほど聖なるものはない、われらの神ほどの岩はない。
3 nolite multiplicare loqui sublimia gloriantes recedant vetera de ore vestro quoniam Deus scientiarum Dominus est et ipsi praeparantur cogitationes
最早誇りて高き事を云い続くるなかれ、古き事を汝のロより棄てよ、主は全知の天主に在し、すべての思想は彼に明白なればなり。
あなたたちはもう高ぶったことを二度と言うな、その口から横柄なことばを出すな。知恵に満ちる神、それは主である、そのみ業は常に正しい。
4 arcus fortium superatus est et infirmi accincti sunt robore
強き者の弓はも折れたり、弱き者は力を帶びたり。
つわものの弓は折れ、弱者は力をまとった。
5 saturati prius pro pane se locaverunt et famelici saturati sunt donec sterilis peperit plurimos et quae multos habebat filios infirmata est
嚮に滿足りし者は、糧の爲に雇われ、飢えたる者は飽かされたり。石婦は數多産み、多くの子を有てる者は衰えたり。
飽き足りた者はパンを求めて働き、飢えた者はもう働きをやめた。うまずめは七度生み数多い子の母はしおれた。
6 Dominus mortificat et vivificat deducit ad infernum et reducit
主は殺し、また活かし給う、黄泉に下し、また戻し給う。
死なせるのも生かすのも主である、黄泉に下らせるのも引き上げるのも、
7 Dominus pauperem facit et ditat humiliat et sublevat
主は貧しからしめ、また富ましめ給う、卑からしめ、また高からしめ給う。
貧しくするのも富ませるのも、卑しくするのも立ち上がらせるのも主である。
8 suscitat de pulvere egenum et de stercore elevat pauperem ut sedeat cum principibus et solium gloriae teneat Domini enim sunt cardines terrae et posuit super eos orbem
乏しき者を塵より起し、貧しき者を卑賤より擧げて、王侯と共に坐せしめ、光榮の座を保たしめ給う。けだし地の樞は主の所有にして、主之が上に地の球を置き給えり。
主はちりの中から惨めな者を拾い上げ、ごみの中から貧しい者を助け上げる、彼らを民のかしらとともに座らせ、永久に光栄の座を与えるために。地の支え柱は主のもの、その上に主は世を置かれた。
9 pedes sanctorum suorum servabit et impii in tenebris conticescent quia non in fortitudine roborabitur vir
主はその聖徒の足を護り給わん、悪しき者は暗黑に在りて默さん、盖は何人も己がカによりて強くなるを得ざればなり。
主は忠実な者の歩みを見守り、悪者をやみの中に消される。勝利は力によるものではない。
10 Dominum formidabunt adversarii eius super ipsos in caelis tonabit Dominus iudicabit fines terrae et dabit imperium regi suo et sublimabit cornu christi sui
主の敵は主を恐れん、主諸天に在りて彼等の上に雷を轟かし給わん。主、地の果を審判き、その王に主權を與え、その受膏者の角を高くし給わん。」と。
ああ主よ......敵は砕かれ、いと高き者は天から雷鳴をとどろかせ、地の果てまでさばかれる、主は王に力を与え、油を注がれた者を高められる」。
11 et abiit Helcana Ramatha in domum suam puer autem erat minister in conspectu Domini ante faciem Heli sacerdotis
さてエルカナはラマタに行き、その家に至りしが、かの子は司祭ヘリの面前に於いて、主の御眼前に仕えたり。
その後彼らはラマへ帰ったけれども、子どもは祭司エリとともに主に仕えるために残った。
12 porro filii Heli filii Belial nescientes Dominum
然るにへリの子等はべリアルの子にして、主を知らず、
エリの子らはろくでなしで、主のことも、
13 neque officium sacerdotum ad populum sed quicumque immolasset victimam veniebat puer sacerdotis dum coquerentur carnes et habebat fuscinulam tridentem in manu sua
また民に對する司祭のなすべき事をも知らざりき。そは即ち、人犧牲を屠るや、肉のなお煮られおる間に、司祭の下僕三叉の肉叉を手にして來り、
民に対する祭司の定めもまったく気にしていなかった。いけにえをささげる人があると、肉を煮ているときに祭司のしもべが三またの肉さしを持って出てきて、
14 et mittebat eam in lebetem vel in caldariam aut in ollam sive in caccabum et omne quod levabat fuscinula tollebat sacerdos sibi sic faciebant universo Israheli venientium in Silo
之を釜、または大釜、または壺、または鍋に突き入れ、肉叉の上ぐるものは皆司祭之を己が爲に取りたり。彼等シロに來るすべてのイスラエルにかく爲しぬ。
大なべ、小なべ、はち、つぼの中に肉さしをつっこんだ。祭司はその肉さしにかかるものをすべて自分のためにとった。彼らはシロにくるイスラエル人みんなに、そういうことをしていた。
15 etiam antequam adolerent adipem veniebat puer sacerdotis et dicebat immolanti da mihi carnem ut coquam sacerdoti non enim accipiam a te carnem coctam sed crudam
また脂肪を燒く前に、司祭の下僕來りて、犧牲を献げる人に云えり、「司祭の爲に煮るべき肉を我に與えよ、蓋し、我は汝より煮たる肉を受けじ、生肉をこそ受けめ。」と。
そのうえ、脂を焼く前に祭司のしもべが出てきて、いけにえをささげる人にこう言うのだった、「祭司の焼肉にする肉を少しください。祭司は煮た肉ではなく生の肉しか受け取らないからです」。
16 dicebatque illi immolans incendatur primum iuxta morem hodie adeps et tolle tibi quantumcumque desiderat anima tua qui respondens aiebat ei nequaquam nunc enim dabis alioquin tollam vi
その時犧牲を献ぐる者之に云いけるは、「慣習に従いて、今日は先す脂肪を燒くべし。然る後、汝心に欲むだけ取れ。」と。然るに下僕答えて之に云いけるは、「然せずして、今與えよかし、然らすば我強いても取らん」と。
もし相手が、「まず脂を焼きます、それから思いのままに肉を取ってください」と答えると、しもべは、「いや今すぐもらいたい。そうしないと力ずくでも取り上げる」と言った。
17 erat ergo peccatum puerorum grande nimis coram Domino quia detrahebant homines sacrificio Domini
さればかの若者等の罪は、主の御前に甚だ大なりき。そは彼等人々を主の犠牲より遠ざけたればなり。
その若者たちの行為は主の前にはなはだしい悪事であった、それは主への供え物を汚すことだったからである。
18 Samuhel autem ministrabat ante faciem Domini puer accinctus ephod lineo
さてサムエルは、子供ながら亞麻布の肩衣を着けて、主の御面前に仕えけるが、
サムエルはといえば麻のエフォドを着る子どもらしく、自分にできることをして主の前に奉仕していた。
19 et tunicam parvam faciebat ei mater sua quam adferebat statutis diebus ascendens cum viro suo ut immolaret hostiam sollemnem
その母之が爲に小さき上衣を作り、定めの日に、祭の犧牲を献げんとてその夫と共に上る時、持ち來れり。
母はその子のために小さながいとうを作り、毎年夫とともにいけにえをささげに上るとき、それを彼に持っていった。
20 et benedixit Heli Helcanae et uxori eius dixitque reddat Dominus tibi semen de muliere hac pro fenore quod commodasti Domino et abierunt in locum suum
時にヘリ、エルカナ及びその妻を祝して、彼に云いけるは、「汝が主に奉りたる人質の爲に、主この女より汝に子種を與え給えかし。」かくて彼等己が住處に帰り行けり。
そのときエリはエリカナとその妻を祝福してこうくり返した、「主にした贈り物の代わりに彼女が別の子を生みますように」と。そして彼らは帰途につくのが例であった。
21 visitavit ergo Dominus Annam et concepit et peperit tres filios et duas filias et magnificatus est puer Samuhel apud Dominum
しかして主アンナを惠み給いければ、彼女懐胎して、三男二女を産みぬ。童サムエルは主の御許にて成長てり。
その後主は本当にアンナを訪れられた。こうしてアンナは身ごもり、息子三人娘二人の子宝を得た。その間小さなサムエルは主のそばでしだいに大きくなっていった。
22 Heli autem erat senex valde et audivit omnia quae faciebant filii sui universo Israheli et quomodo dormiebant cum mulieribus quae observabant ad ostium tabernaculi
さてヘリは甚だ老いたりしが、己が子等のすべてのイスラエルに爲したる一切の事と、彼等が幕屋の門口に待ちいたる女等と共に臥したる次第とを聞き、
エリはかなり年を取っていたけれども、自分の息子たちが、すべてのイスラエル人に対して何をしているかを聞かされた。
23 et dixit eis quare facitis res huiuscemodi quas ego audio res pessimas ab omni populo
彼等に云いけるは、「汝等何故にかかる事を爲すや、我すべての民より之を聞きしが、憎むべき惡事なり。
彼は二人の息子に言った、「なぜそんなことをするのか。私は人々からおまえたちのやっている悪事を聞いた。
24 nolite filii mi non enim est bona fama quam ego audio ut transgredi faciatis populum Domini
わが子等よ、然するなかれ。寔に汝等主の民をして非を行わしむと、わが聞く噂は善からず。
いやいや、皆の話ではおまえたちは主の民を遠ざけている、そういうことを決してしてはならぬ。
25 si peccaverit vir in virum placari ei potest Deus si autem in Domino peccaverit vir quis orabit pro eo et non audierunt vocem patris sui quia voluit Dominus occidere eos
人もし他人に対して罪を犯さば、天主之に對して御心を宥められ給うこともあらん。されど人もし主に對して罪を犯さば、誰か之が爲に祈るを得べき。」と。然るに彼等その父の聲に聽き從わざりき。そは主彼等を殺さんとし給いたればなり。
人が他人に罪を犯せば神はさばき手となってくださる。だが主に対して罪を犯せば、だれにとりつぎを頼めよう」。二人は父の言うことに耳をかさなかった。主は二人を殺そうと決めておられたからである。
26 puer autem Samuhel proficiebat atque crescebat et placebat tam Deo quam hominibus
さて少年サムエルは身大きく、成長ち行きて、主にも人にも好まるる者となりぬ。
それにひきかえ若いサムエルは神の前でも人の前でも、背丈も寵愛も増していくのだった。
27 venit autem vir Dei ad Heli et ait ad eum haec dicit Dominus numquid non aperte revelatus sum domui patris tui cum essent in Aegypto in domo Pharaonis
折しも天主の人、へリの許に來りて、之に云いけるは、「主かく云い給う“汝の父祖エジプトに於いてファラオの家に在りし時、我、彼等の家に明らかに現れしに非ずや。
ある日神の人が一人エリのもとにきて言った、「主はこう仰せられる、〈人々がファラオの家の奴隷としてエジプトにいたとき、私はおまえの父の家に向けてはっきり私自身を示したではないか。
28 et elegi eum ex omnibus tribubus Israhel mihi in sacerdotem ut ascenderet altare meum et adoleret mihi incensum et portaret ephod coram me et dedi domui patris tui omnia de sacrificiis filiorum Israhel
しかして我、彼をしてわが祭壇に上りて我に香を焚き、わが前に肩衣を着けしめんとて、イスラエルの中より彼を選び、司祭たらしめ、イスラエル裔等の悉く、汝の父砠の家に與えたり。
私の祭司となり、祭壇に上り、香をたき、私の前でエフォドをつけるように、イスラエルの全部族の中から私は彼を選んだ。またおまえの父の家には、イスラエルの子らの火のいけにえをすべて糧として与えた。
29 quare calce abicitis victimam meam et munera mea quae praecepi ut offerrentur in templo et magis honorasti filios tuos quam me ut comederetis primitias omnis sacrificii Israhel populi mei
何が故に、聖殿にて献げよと命じたるわが犠牲とわが禮物とを、汝等足にて踏みにじりたるぞ。また何が故に汝我よりも汝の子等を貴びて、わが民イスラエルのあらゆる献物の初穗を食するそ。"
こうしておまえたちは、私の民イスラエルの供え物の初穂で肥え太った。それなのになぜ、私の命じたいけにえと供え物をものほしげにながめ、私自身よりおまえの息子らのほうを大事にしたのか〉――
30 propterea ait Dominus Deus Israhel loquens locutus sum ut domus tua et domus patris tui ministraret in conspectu meo usque in sempiternum nunc autem dicit Dominus absit hoc a me sed quicumque glorificaverit me glorificabo eum qui autem contemnunt me erunt ignobiles
されば主イスラエルの天主はかく云い給う、"我寔に云えり、汝の家と汝の父祖の家とは、幾久しくわがこの眼前に仕うべしと。”されど今や主は云い給う、"そはわが欲する所に非ず。すべて我に光榮あらしむる者は、我も之に光栄あらしむべし、されど我を軽んずる者は、蔑ろにせらるべし。
イスラエルの主なる神は仰せられる――〈“おまえの家とおまえの父の家は永久に私の前を歩む”と私ははっきり語ったけれども―主は仰せられる――〈今はもうそうではない。私を尊ぶ者を私も尊び、私をないがしろにする者を私もないがしろにする。
31 ecce dies veniunt et praecidam brachium tuum et brachium domus patris tui ut non sit senex in domo tua
視よ、日は來る。その時は汝の腕と汝の父祖の家の腕とを断ち、汝の家に老ゆる者をなからしめん。
見よ、ある日私はおまえの腕とおまえの父の家の腕を切り取る。おまえの家にはそのときもう長老はいなくなる。
32 et videbis aemulum tuum in templo in universis prosperis Israhel et non erit senex in domo tua omnibus diebus
即ちイスラエルのあまねく繁榮ゆる時に、汝聖殿に汝の敵手を見るべく、汝の家には末永く老ゆる者なからん。
主のイスラエルに行われる良いことをねたましくながめるときがおまえにはくる。そのときすでにおまえの家には長老はない。
33 verumtamen non auferam penitus virum ex te ab altari meo sed ut deficiant oculi tui et tabescat anima tua et pars magna domus tuae morietur cum ad virilem aetatem venerit
然りといえども、我はわが汝より出でし人を祭壇より全くは取除かじ、ただ汝の眼霞み、汝の靈魂衰うることあらん。また汝の家人の大部分は、丁年に及びて死すべし。
とはいえ私はおまえの家の者をだれか私の祭壇の側に残しておく。それは彼らの目をしぼませ魂をなえさせるためである。おまえの家の子孫は人の手にかかって剣で死ぬだろう。
34 hoc autem erit tibi signum quod venturum est duobus filiis tuis Ofni et Finees in die uno morientur ambo
さて、汝の二子、オフニ及びフィネスに起るべきこの事を以て、汝に對する徴とせん。即ち彼等は兩人共に日を同じうして死すべし。
おまえの二人の子オフニとピンハスに起こることを見ておまえはしるしと思え、二人は同じ日に死ぬことになる。
35 et suscitabo mihi sacerdotem fidelem qui iuxta cor meum et animam meam faciat et aedificabo ei domum fidelem et ambulabit coram christo meo cunctis diebus
我はまたわが爲に忠信なる司祭を起さん、彼はわが心とわが精神とに從いて爲さん。されば我彼が爲に堅固なる家を建てん、彼はいつの日にもわが注油せる者の前に歩まん。
そのとき、私は私の心と望みに従ってふるまう忠実な祭司を起こそう。私に油を注がれたものとして常に私の前を歩めるように、その者に固い土台の家を建てさせよう。
36 futurum est autem ut quicumque remanserit in domo tua veniat ut oretur pro eo et offerat nummum argenteum et tortam panis dicatque dimitte me obsecro ad unam partem sacerdotalem ut comedam buccellam panis
しかして汝の家に遺れる者は、來りて祈祷を求め、銀一枚とパン一斤とを出して云わん、‘乞う我に司祭の職務の一部を許容して、一口のパンにても食するを得しめよ。’’’と。」
そのときおまえの家に生き残っている者は、小粒の銀と一きれの堅パンをこうて彼の前にひれ伏し、“パン一きれがほしいので、何でもよいから祭司の役目をやらせてください”と頼むことになろう〉」。