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2019年6月9日 聖霊降臨大祝日の説教 サマーズ神父様「この世はキリストの平和を失った」

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聖霊降臨の祝日の説教「この世はキリストの平和を失った」
パトリック・サマーズ神父(聖ピオ十世会アジア管区長)

1954年の聖霊降臨の祝日に、教皇ピオ十二世は、世界に向けたラジオメッセージの中で、当時の世界の動向について彼が感じた心配を表明しており、彼がそれを言明して以来、事態は改善されていません。この地上の人間は、キリストの弟子であるべきであり、また、「地には善意の人々に平和」というメッセージとともにキリストが来てくださり、「私の平和をあなたたちに残す」という言葉をくださってこの世を去られたにもかかわらず、あらゆる種類の戦争で自分自身を破壊しつつあります。そうです、軍事的な戦争のみならず、最も悪い種類の戦争…私たちの主の道徳律に対する戦争です。

なぜでしょうか? キリストはただ単に平和を望まれたのではなく、私たちに平和を与えてくださいました。それならば、なぜ私たちは平和を享受していないのでしょうか? 私たちが聖書を調べれば、理由の一つが分かります。「悪人には平和がない、と主なる天主は仰せられる」(イザヤ57章21節)。

この世に平和がない原因は、キリストの平和の喪失以外の何物でもあり得ません。この平和が何において存しているのかを見てみましょう=「平和は秩序の平穏に存する」と、聖トマス・アクィナスは聖アウグスティノの教えに倣って言っています。

平穏とは、「安らぐこと」すなわち、完全に静かであることの別の言い方です。
秩序とは、すべてのものあるいはすべての人が正しく適切な場所にあるときのことです。
ですから、これら二つの要素を合わせれば、私たちは「平和」が秩序の平穏とともに到来することがわかるでしょう。

ですから、この平和は、私たちが天主を愛し天主にお仕えすることを知るときに、私たちにやって来ます。私たちが自分の適切な場所および自分の生活の正しい秩序を知っていれば、このすべてが平和をもたらします。
罪は、この平和の反対です。なぜなら、罪は無秩序だからです。罪は安らぎをもたらすのではなく、不安と心配、死をもたらすのです。

例えば、家庭において、父親に愛すべき権威があり、母親に愛すべき服従があり、子どもたちに従順があるという、まことの秩序が支配していれば、家族が生きている平和は、みんなによって称賛されるものです。しかし、どのようなレベルであってもいったん無秩序が入り込めば、あらゆる種類の混乱が発生するのです。

しかし、この世の平和についてはどうでしょうか? 何が必要なのでしょうか?

(a)普遍的な平和には、そのすべての要素となる部分において秩序が必要です。

 1.私たち自身の内における秩序、理性と知性へ感情を従わせることです。そうでないなら、個人自身の内に平和はあり得ません。
 2.私たち自身の間の人間関係における秩序、正義や権威などによってすべての人に課される制限に従うことです。
    そうでないなら、内戦や階級闘争が起こらざるを得ません。
 3.天主に対するすべての行いの秩序、天主を至高の主であり立法者であると認めることです。

キリスト教徒の平和の本質は何でしょうか?
(a)聖トマスは、平和は愛から来るのであり、まず天主への愛があって、それから天主のゆえの隣人への愛がある、と言っています。このまことの愛がなければ、本当の永続する平和はあり得ません。

この世はキリストの平和を失いました。どのようにしてでしょうか?

前世紀において、そして今でも、私たちは、政府が天主に取って代わってしまうという社会秩序にどんどん近づきつつあります。
家庭道徳の原則、結婚の聖性などが公に侵害されていますが、これらは人類自身の社会生活の基本的原則です。
宗教の自由が自然権として提案されていますが、これは健全なカトリック神学では聞いたことがないものです。霊魂における恩寵の生活を台無しにする誤謬には、権利などあってはなりません!

解決法は、諸教皇によって何度も繰り返し述べられてきました。

(a)私たちは、聖霊に対して、聖霊降臨の奇蹟を繰り返し、人間の心にもう一度愛の火をつけてくださるように願わなければなりません。
(b)この世と、この世の各人は、平和の王である私たちの主イエズス・キリストへの愛と奉仕へと立ち返らなければなりません。
(c)私たちの一人一人が、自分自身の方法で、自分自身の生活および行動の範囲内において、これに向けて協力しなければなりません。
    それは長く続く仕事であって、希望のないように見えますが、私たちは、パン生地の中のわずかなパン種が全体を変化させることができる、
    というキリストの言葉を心に留めなければなりません。各個人が回心しなければなりません。
    そうすれば、私たちはこの世がキリストの平和へ回心するのを見るかもしれません。

それゆえに、愛する信者の皆さん、一年中で最も大きな祝日の一つである聖霊降臨というこの大きな祝日に、私たちのもとにやって来る多くの恩寵を忘れないようにしましょう。この祝日は、私たちの主イエズス・キリストの生涯とみわざを網羅する典礼年の締めくくりです。
ご降誕、ご生活、ご受難、ご死去、ご復活、ご昇天、そして最後に主は、来て私たちとともに住み、私たちを聖化させる聖霊を送られるのです。

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