2021年8月14日(土)童貞聖マリアの被昇天の前日のミサ
聖ピオ十世会司祭 トマス小野田神父様御説教(大阪)
聖父と聖子と聖霊との御名によりて、アーメン。
明日は、聖母の被昇天の大祝日です。ですからその準備の為に、マリア様の被昇天の玄義を黙想致しましょう。
マリア様がこの地上でのご生活を終えられて、霊魂も肉体も天に上げられた、というのは事実です。これは信仰箇条です。
では、一体なぜそうなったのか?
これは、神学者たちが色々な黙想をして、こうではないか、ああではないか、と祈りながら考えました。おそらく天主の深い愛の計画によれば、私たちがそれを、こうじゃないか、という事をはるかに超える、深い、美しい理由と神秘が含まれていると思います。私たちの指では数え切れないほどの、多くの愛の理由が含まれていると思いますが、神学者が小さな頭を使って考えたのがいくつかあります。
(1)それはまず、「マリア様が、罪と全く関係が無い御方であったから。無原罪の御孕りのその論理的な結果として、罪が全く無い、汚れ無い御方であったから、罪の結果である『死』と、『死による腐敗』から、完全に守られなければならなかった」と指摘しています。
(2)また神学者は、「マリア様が、イエズス・キリストの贖いの業にピッタリと結び付いていたから」と指摘しています。
アダムとエヴァの原罪が、その罪を罰する時に、天主はそれと同時に、第二のアダムと第二のエヴァ、贖い主と共贖者について予言しました。
『お前の子孫と、そしてこの女の子孫との間に、敵対を置く。彼女はお前の頭を踏み砕くだろう。』(創世記3:15)
「その贖いにピッタリと、その伴侶としていたマリア様が、イエズス様と同じく私たちに先立って、肉体の復活と天への昇天、天に昇られる事があるのは当然だったから」と理由を想像しています。
「私たちの霊魂の贖いの為に、これほどイエズス様と一致して苦しまれた、十字架の苦しみを捧げた方こそ、その栄光に既に与っているべきである。」
(3)あるいはある神学者はまた、「マリア様に対する、天主の御母であるマリア様に対する、イエズス様の愛の、子供としての愛の為にそうなさった。イエズス様は、御自分の御母が一つも傷付けられる事のない事を望まれた。」
ですからマリア様がイエズス様をお産みになる時に、そのクリスマスの御降誕の時には、イエズス様は一切マリア様を傷付けずにお生まれになりました。マリア様は終生童貞であり、イエズス様がお生まれになる前も、そしてそのお生まれになる時も、そしてその後も、一つの傷も付けられない御方でした。INVIOLATA。
ですから、「そのような、これほどまで配慮されたマリア様、御母に対して、イエズス様がその御体が腐敗する事を許すなどあり得ない。御自分の宿った生ける御聖櫃、これがなぜ腐敗する事などあるだろうか?その屈辱をイエズス様は決して許す事ができなかった。イエズス様のその愛の為に、マリア様は被昇天されなければならなかった」など。
おそらくこれ以外にも色々な神秘、色々な理由がある事でしょう。全ては天主への愛、罪の汚れの無さ、そしてイエズス・キリストのマリア様に対する愛によって、説明されます。
では、私たちはマリア様に、明日の被昇天を深く、良く祝う事ができますように、この神秘を私たちも味わう事ができますように、お祈りしつつ、このミサを続けましょう。
聖父と聖子と聖霊との御名によりて、アーメン。