二 十 日 養育者としての聖マリア
イエズスは智慧(ちえ)も齢(よわい)も、神と人とに於(お)ける寵愛(ちょうあい)も、
次第に弥増(いやま)し居(い)給(たま)えり。 (ルカ 二。 五二)
これは少年イエズスの御成長の有様を述べた言葉である。一体天主は限りなきお方であるから、聖ヤコボが「神には変更なく回転の影なきなり」と云われた如く、その一切の御性質は常に完全無欠で、増す事も減(へ)る事も、進歩する事も退歩(たいほ)する事もない。唯、永遠より永遠に至るまで些(いささ)かの変化もなく、始終(しじゅう)同一に在(ましま)すが、その他の被造物(ひぞうぶつ)は悉(ことごと)く限りあるもの故、絶えず増減(ぞうげん)進退などの変化を行っているのである。さればイエズスも、天主第二位としては、もとより「回転の影」もないが、人としては矢張(やは)り生まれ、成長し、死する等の変化を受け、幼年期、少年期、青年期、壮年期等を経(へ)て、各時期の人々にそれぞれ模範(もはん)を残し給うたのである。
聖マリアは幼きイエズスを、決して御自分の為、或は世間の為にはお育てにならなかった。常にひたすら天主の御光栄(みさかえ)と、世の救いと、十字架を目的とし、天主の母たる御自分の貴(とうと)さよりも、むしろ「我は主の婢(つかひめ)なり」との謙遜(けんそん)な御自覚と、犠牲的な母性愛とを以て聖子(おんこ)を養育されたのである。
今、聖母が聖子(おんこ)に就いて如何なる事をなされたか、少しく黙想して見よう。先ずキリスト御降誕の際には、遠い他郷(たきょう)の、しかも貧しい洞穴(どうけつ)の中で、身を以て聖子(おんこ)を夜風の寒さからお護りになった。次に四十日目には一般ユデアの習慣(しゅうかん)に従って型の如く聖子(おんこ)を聖(せい)殿(でん)に献げ給い、再び御子に受取られたけれど、それは後日(ごじつ)世の救いの為に、最も残酷(ざんこく)な犠牲に献げる為であって、その折りその場に来あわせた老シメオンの「汝の霊魂も剱(つるぎ)にて刺(さ)し貫(つらぬ)かるべし」との預言は、聖子(おんこ)の御死去に至るまで絶(た)えず聖母の御心(みこころ)に響いていたのである。
そして此の予言にある、霊魂の剱(つるぎ)で刺(さ)し貫(つらぬ)かれるような苦痛の最初は、聖子(おんこ)を悪虐(あくぎゃく)ヘロデの毒手(どくしゅ)から救わん為エジプトにお遁(のが)れになった時であった。途中の御困難は申すに及ばず、エジプトに於いて数年間慕(した)わしい天主の家を離れ、数多(あまた)の偶像(ぐうぞう)教(きょう)信者の中に、聖ヨゼフの御保護と御扶養(ごふよう)を受けつゝ過ごされたのは、どれほど心細(こころぼそ)い事であったか知れない。かように見来(みき)たれば聖母は聖子(おんこ)の為に常に犠牲を献(ささ)げ、尊(とうと)い母性愛と天主への謙遜(けんそん)な信頼を以て多くの艱難(かんなん)をお忍(しの)びになった事がわかる。
然しかような聖マリアにも喜びが全(まった)くなかった訳ではない。外部的には貧窮(ひんきゅう)その他の苦しみに悩まされ給うたが、内部的には超自然の平和と喜びとを恵まれ給うたのである。そして幼子(おさなご)イエズスを抱(だ)き上げ、そのあどけなき御顔を眺め、誠心(まごころ)から愛し給う時、その聖(み)心(こころ)は全く天上の幸福に満(み)たされ、清い歓喜(よろこび)が渾々(こんこん)と湧(わ)くのであった それはとにかく、右に述べた聖母の御心(おんこころ)がけは、一般子女を養育する者の此の上もない模範(もはん)でなければならぬ。即ち我等は聖マリアに倣(なら)い、子供をわが為、又は世間の為にせず、天主の御光栄(みさかえ)の為に育てる事が大切である。余りに世間の目的の為に育てる時は、往々(おうおう)子供を滅亡(ほろび)に導く恐れがある。
そしてその養育に当たるには、矢張り聖母の如く天主に対する謙遜(けんそん)な信頼と、超自然的犠牲(ぎせい)愛(あい)とを以てする事が必要で、いやしくも子供の愛に溺(おぼ)れてその前途を誤る如き事があってはならぬ。故に我等は常によき御母たる聖マリアに祈って、正しき道を示して戴く為に、その御導きを願うべきである。そうすれば、我等の子女は善良に生(お)い立ち、我等の心にも天主よりの平安と歓喜(よろこび)とが溢(あふ)れることであろう。
祈 願
あゝ聖母よ、主の思(おぼ)し召しによりて我等に托(たく)せられたる子供を、日毎御心(みこころ)に叶(かな)う者とならしめ、熱心に主に仕え奉らしむるよう、御慈悲(おんいつくしみ)をもって養育者なる我の弱さを助け給わん事を、恭(うやうや)しく天使祝詞(しゅくし)三度繰(く)り返して願い奉る。
(天使祝詞 三度)
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イエズスは智慧(ちえ)も齢(よわい)も、神と人とに於(お)ける寵愛(ちょうあい)も、
次第に弥増(いやま)し居(い)給(たま)えり。 (ルカ 二。 五二)
これは少年イエズスの御成長の有様を述べた言葉である。一体天主は限りなきお方であるから、聖ヤコボが「神には変更なく回転の影なきなり」と云われた如く、その一切の御性質は常に完全無欠で、増す事も減(へ)る事も、進歩する事も退歩(たいほ)する事もない。唯、永遠より永遠に至るまで些(いささ)かの変化もなく、始終(しじゅう)同一に在(ましま)すが、その他の被造物(ひぞうぶつ)は悉(ことごと)く限りあるもの故、絶えず増減(ぞうげん)進退などの変化を行っているのである。さればイエズスも、天主第二位としては、もとより「回転の影」もないが、人としては矢張(やは)り生まれ、成長し、死する等の変化を受け、幼年期、少年期、青年期、壮年期等を経(へ)て、各時期の人々にそれぞれ模範(もはん)を残し給うたのである。
聖マリアは幼きイエズスを、決して御自分の為、或は世間の為にはお育てにならなかった。常にひたすら天主の御光栄(みさかえ)と、世の救いと、十字架を目的とし、天主の母たる御自分の貴(とうと)さよりも、むしろ「我は主の婢(つかひめ)なり」との謙遜(けんそん)な御自覚と、犠牲的な母性愛とを以て聖子(おんこ)を養育されたのである。
今、聖母が聖子(おんこ)に就いて如何なる事をなされたか、少しく黙想して見よう。先ずキリスト御降誕の際には、遠い他郷(たきょう)の、しかも貧しい洞穴(どうけつ)の中で、身を以て聖子(おんこ)を夜風の寒さからお護りになった。次に四十日目には一般ユデアの習慣(しゅうかん)に従って型の如く聖子(おんこ)を聖(せい)殿(でん)に献げ給い、再び御子に受取られたけれど、それは後日(ごじつ)世の救いの為に、最も残酷(ざんこく)な犠牲に献げる為であって、その折りその場に来あわせた老シメオンの「汝の霊魂も剱(つるぎ)にて刺(さ)し貫(つらぬ)かるべし」との預言は、聖子(おんこ)の御死去に至るまで絶(た)えず聖母の御心(みこころ)に響いていたのである。
そして此の予言にある、霊魂の剱(つるぎ)で刺(さ)し貫(つらぬ)かれるような苦痛の最初は、聖子(おんこ)を悪虐(あくぎゃく)ヘロデの毒手(どくしゅ)から救わん為エジプトにお遁(のが)れになった時であった。途中の御困難は申すに及ばず、エジプトに於いて数年間慕(した)わしい天主の家を離れ、数多(あまた)の偶像(ぐうぞう)教(きょう)信者の中に、聖ヨゼフの御保護と御扶養(ごふよう)を受けつゝ過ごされたのは、どれほど心細(こころぼそ)い事であったか知れない。かように見来(みき)たれば聖母は聖子(おんこ)の為に常に犠牲を献(ささ)げ、尊(とうと)い母性愛と天主への謙遜(けんそん)な信頼を以て多くの艱難(かんなん)をお忍(しの)びになった事がわかる。
然しかような聖マリアにも喜びが全(まった)くなかった訳ではない。外部的には貧窮(ひんきゅう)その他の苦しみに悩まされ給うたが、内部的には超自然の平和と喜びとを恵まれ給うたのである。そして幼子(おさなご)イエズスを抱(だ)き上げ、そのあどけなき御顔を眺め、誠心(まごころ)から愛し給う時、その聖(み)心(こころ)は全く天上の幸福に満(み)たされ、清い歓喜(よろこび)が渾々(こんこん)と湧(わ)くのであった それはとにかく、右に述べた聖母の御心(おんこころ)がけは、一般子女を養育する者の此の上もない模範(もはん)でなければならぬ。即ち我等は聖マリアに倣(なら)い、子供をわが為、又は世間の為にせず、天主の御光栄(みさかえ)の為に育てる事が大切である。余りに世間の目的の為に育てる時は、往々(おうおう)子供を滅亡(ほろび)に導く恐れがある。
そしてその養育に当たるには、矢張り聖母の如く天主に対する謙遜(けんそん)な信頼と、超自然的犠牲(ぎせい)愛(あい)とを以てする事が必要で、いやしくも子供の愛に溺(おぼ)れてその前途を誤る如き事があってはならぬ。故に我等は常によき御母たる聖マリアに祈って、正しき道を示して戴く為に、その御導きを願うべきである。そうすれば、我等の子女は善良に生(お)い立ち、我等の心にも天主よりの平安と歓喜(よろこび)とが溢(あふ)れることであろう。
祈 願
あゝ聖母よ、主の思(おぼ)し召しによりて我等に托(たく)せられたる子供を、日毎御心(みこころ)に叶(かな)う者とならしめ、熱心に主に仕え奉らしむるよう、御慈悲(おんいつくしみ)をもって養育者なる我の弱さを助け給わん事を、恭(うやうや)しく天使祝詞(しゅくし)三度繰(く)り返して願い奉る。
(天使祝詞 三度)
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