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教皇聖ピオ十世の回勅「イル・フェルモ・プロポジト」に基づくキリスト教文明と、カトリック・アクションの原則について

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カトリック・アクションについての説教

ドモルネ神父 2023年9月3日

はじめに

今日は、私たちの会の守護聖人である、教皇聖ピオ十世の祝日です。教皇聖ピオ十世が書いた回勅の一つに、1905年6月11日付の「イル・フェルモ・プロポジト」(Il Fermo Proposito)があります。教皇は、キリスト教文明と、カトリック・アクションを通じてその文明を拡大することについて述べています。カトリック・アクションとは、世界をキリスト教化するよう働くことを意味します。今日は、この回勅に基づき、キリスト教文明と、カトリック・アクションの原則についてお話しします。

世界の文明とはキリスト教文明

私たちの主イエズス・キリストは、人となられた御子なる天主です。イエズス・キリストが私たちの中に住まわれたのは、天主について、天主のみわざについて、私たちが存在する理由について、死んだ後に起こることについて、審判について、天国について、地獄について、私たちに教えるためです。イエズス・キリストが来られたのは、私たちに真理を教えるためだけでなく、真理に従って生きる能力、すなわち、私たちの父である天主を心から愛し、隣人を自分のように愛するという能力を、私たちに伝えるためです。こうして、私たちの主イエズス・キリストは、彼に耳を傾ける人々を完全な愛と平和へと導いてくださいます。言い換えれば、天主における、完全な永遠の幸福へと導いてくださるのです。

私たちの主イエズス・キリストは、世の終わりまでご自身のみわざを続けるためにローマ・カトリック教会を創立されました。個人と社会に対するカトリック教会の活動は、私たちの主ご自身の活動と同じです。カトリック教会は個人を聖化し、その結果として、人間社会を聖化します。実際、カトリック教会の活動のもとで、人は天主を愛し、隣人を愛することを学び、正義の徳、賢明の徳、剛毅の徳、節制の徳を実践することを学び、家庭的、職業的、世俗的な義務を、勇気をもって引き受けることを学ぶのです。

個人が良くなれば、社会も良くなります。それは単に論理的なことです。こうして、カトリック教会の活動のもとで、人間社会は霊的にも物質的にも完成するのです。人間社会の霊的、知的、芸術的、科学的、技術的な完成が、私たちが文明と呼んでいるものです。すると、キリスト教文明とは、カトリック教会の要求と指示のもとで、すなわち、私たちの主イエズス・キリストの要求と指示のもとで、人間社会が霊的、知的、芸術的、科学的、技術的に完成することなのです。

世界の文明はキリスト教文明です。なぜそうなのでしょうか。なぜなら、イエズス・キリストとキリストの教会だけが、人類に人間的完成を達成する力を与えるからです。教皇聖ピオ十世の言葉にはこうあります。「世界の文明はキリスト教的です。文明が完全にキリスト教的であればあるほど、文明はさらに真のものであり、さらに永続的なものであり、さらに真の実りをもたらすものなのです。一方、文明がキリスト教の理想から遠ざかれば遠ざかるほど、社会秩序はさらに深刻な危機に瀕するのです」(4番)。世界の人々の歴史は、この現実を明確に示しています。

世界をキリスト教化するということは、すべての国民が同一のものとなり、それぞれの個性が失われるということでしょうか。そうではありません。このことは、カトリック教会を通じた天主の活動のしるしなのです。天主は、すべての国民を、それぞれの才能と特殊性をもって造られました。カトリック教会が、これらの才能や特殊性を破壊することがないのは確実です。教会は、異教の文明に存在する良い要素を維持し、完成させ、残虐性、犯罪性、不道徳性、混沌といった要素を排除し、それぞれの国民に対して自らの才能に従って自らを完成させる手段を与えるのです。ですから、例えば、フランスのキリスト教文明は、スペインや英国、ロシアのキリスト教文明とは異なります。もし徳川将軍家が、16世紀に日本で形成されつつあったキリスト教文明を残酷に押しつぶさなかったならば、江戸時代が私たちに残したものをはるかに凌ぐ、非常に興味深い日本のキリスト教文明が、今日存在していたことでしょう。

キリスト教文明に反対するもの

私たちの主イエズス・キリストが地上に来られたとき、イエズスとその教え、そして人類に対する甘美な活動に反対する人々がいました。それ以来、歴史を通じて、カトリック教会とその文明の活動に反対する人々が常に存在していました。彼らがこのようなことをするのは、なぜでしょうか。なぜなら、彼らは天主に対してふさわしい誉れや愛、従順を捧げようとはせず、その反対に、自分たちが自らの主人となり、快楽、富、権力、栄光を求める無秩序な情熱にふけろうとするからです。

今日、世俗主義とエキュメニズムは、キリスト教文明の拡大に反対するものの主な形態です。すべての宗教が平等であるとみなされるため、国家はすべての宗教に平等な公的権利を与えなければならない、ということが誤って教えられています。カトリックの宗教が他の宗教より優れているわけではなく、そのため、すべての国民に影響を拡大すると主張することはできない、ということが誤って教えられています。まさにここ日本で、このエキュメニズムを示す出来事がありました。1987年8月、京都の比叡山で、すべての宗教の代表者が集まって世界平和を祈り、すべての宗教を平等な立場に置きました。アリンゼ枢機卿がカトリック教会を代表しました。このような会議は、嘘と偽善にほかなりません。平和とは、秩序が平穏であることです。物事が良い秩序の状態にあるとき、私たちは平和と呼ばれる平穏さを享受します。イエズス・キリストを唯一無二の普遍的な贖い主だとして、イエズス・キリストにふさわしい誉れを捧げることによって、人が天主との間の秩序を守らない限り、人に平和は訪れません。聖書の中で、天主が預言者エレミアを通して言われたことに耳を傾けてください。このことは、偽りの宗教の代表者すべてに当てはまります。「預言者から司祭まで、みな嘘をつく。…彼らは言う。平和、平和。だが平和はない」(エレミア6章13-14節)。

世界におけるキリスト教文明の発展に反対するものがあっても、私たちはもちろん、落胆することはありません。それどころか、そのことは私たちの天主と隣人への愛を刺激し、私たちの社会に私たちの主イエズス・キリストの統治を拡大するために勇気を持って行動するよう、私たちを駆り立てるはずです。これが、カトリック・アクションなのです。

カトリック・アクションの原則

カトリック・アクションは、時と場所を問わず適用される、いくつかの原則の上に成立しています。

第一に、カトリック・アクションは、家庭や世俗社会に私たちの主イエズスをもたらすことを目的としていますから、私たち自身も、成聖の恩寵によって私たちの主イエズスと一致していなければなりません。私たちは、自分が持っていないものを他人に与えることはできません。ですから、私たちは良き霊的生活、つまり、私たちの主イエズスとの熱心な個人的かつ愛に満ちた関係を持たなければなりません。そのような良い霊的生活がなければ、私たちの活動には正しい意向が欠け、困難のときに私たちは落胆し、私たちの活動は必然的に効果のないものになるでしょう。

次に、私たちの周囲の人々が直面している問題や、その人々の霊的な問題が何かを見極め、彼らにカトリック的な答えを提供する必要があります。明らかなことですが、人々は自分たちが関心を持っている問題については、もっと進んで耳を傾けるでしょう。例えば、社会正義、現代世界で絶えない戦争、人口の高齢化、LGBT実践の合法化などの問題です。

次に、教皇聖ピオ十世はこう述べています。「カトリック信者は、何よりも平和と調和の精神を保たなければなりません」(14番)。カトリック信者の間に不和の種をまき、彼らの努力を無駄なものにしようとするのは、よく知られた悪魔の戦術であることを覚えておきましょう。

次に、私たちは、恐れもなく世間体(human respect)もなく、カトリックでない環境からの社会的圧力に抵抗して、どこにいても自分がカトリック信者であることを示し、カトリック信者として行動しなければなりません。それが家庭であっても、学校であっても、職場であっても、社会行事の場であってもです。

最後に、私たちは、道を誤らないように、常にカトリック教会の位階階級の指導のもとで働かなければなりません。

結論

親愛なる信者の皆さん、今日の書簡で聖パウロが述べていることを、もう一度読んでください。聖パウロは、カトリック・アクションで私たちを駆り立てるはずの精神を見事に要約しています。「…私たちの宣教は、誤りや、汚れや、偽りから出るのではない…私たちは、人間におもねるのではなく、天主に喜ばれようとして語っている…私たちは、物をむさぼる口実をもうけもしなかった…私たちは、あなたたちからも他の人からも、人間からは栄誉を求めなかった…乳母が子どもを育て養うように、私たちはあなたたちを愛し、天主の福音だけでなく喜んで命までも与えたいと思うほどであった」(テサロニケ前書2章3-8節)。

使徒の元后なる聖母が、私たちを祝福してくださいますように。


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