2021年6月27日(主日)聖霊降臨後第5主日
聖ピオ十世会司祭 トマス小野田神父メッセージ
聖父と聖子と聖霊との御名によりて、アーメン。
愛する兄弟姉妹の皆様、
6月は聖心の月です。聖ジェンマ・ガルガーニが聖心に対する9日間の祈祷ノベナによって、奇跡的に治癒が起こって、聖徳に進歩する大きなきっかけになった話を今日はしたいと思っています。
ジェンマ・ガルガーニは、1878年にイタリアのルッカという町に近い所で生まれました。ご両親はカトリックの熱心な信徒でしたけれども、大きな不幸や辛い事がたくさんありました。
ジェンマがまだ8歳であった頃、お母さんを失いました。そしてお父さんは1897年に、ジェンマが20歳になるかならないかの時に亡くなりました。そしてお父さんが亡くなるとすぐに、ジェンマは非常に病気になりました。
まず結核になって、そして髄膜炎という脳の病気になって、そして聴覚を全く失ってしまいました。それから体を動かす事が出来なくなって、麻痺をしてしまいました。ですからいつも体の全身に痛みを感じていて、ベッドに寝たきりでした。そして自分で体を動かす事も出来ずに、ただ隣人の愛徳に全く依存して生きるだけしかありませんでした。
体の調子はますます悪くなるばかり、痛くなるばかりで、遂には1899年、まだジェンマが21歳になったばかりの2月2日、遂にジェンマの命はもうこれで終わりで、この夕方には亡くなってしまう、もうないという風に思われました。そこで聴罪司祭、あるいは御聖体を受けて、そして皆が、「さようなら。良い天国への旅路を」と祈りました。
ところが、ジェンマは生き延びました。実はこの最後の「もうだめだ」と思われたその前のある日、ある一人の婦人が、その時ちょうど有名になっていた『悲しみの聖母の聖ガブリエル』という聖人の本を持ってきたのです。伝記を持ってきたのです。「これを読むように。」でもジェンマはその時にあまり興味がありませんでした。「すぐにそれをつまらなさそうに持って、ベッドの枕の下に置いた」と後で日記に書いています。
日本語でもこの聖ガブリエルについては、『我が青春に悔いはなし』という伝記があります。昔出ていました、私も読んだ事があります。とても立派な聖人です、是非お読み下さい。
そしてでもある時、ジェンマが悪魔からの誘惑を感じて負けそうになってしまった時に、この聖ガブリエルの名前を呼んで、「助けて下さい!」と祈ったのです。すると聖ガブリエルが来て、そのジェンマを助けてくれて、そしてそれに打ち勝つ事ができました。それ以後、特別の保護者として守護者として、ジェンマはブラザー・ガブリエルを御受難会の修道士、天国にいる修道士を、自分の守護者として選んだのです。「そして特別な信心を持ち始めた」と言っています。
2月2日の苦しみの時を生き延びて2週間ほど経ったある主日、2月19日、大司教であったボルピ司教様がジェンマの所にやって来て、そして、「(今では聖人ですけれども、その当時には福者だった)マルガリタ・マリア・アラコックにノベナをしなさい。ノべナをすれば、きっとすぐにその時に治るだろう」と約束しました。「絶対治るからやりなさい。」
そこでジェンマはそのノベナを始めます。主日に始めて、月曜日にもノベナをするのですけれども、火曜日にはお祈りをする事を忘れてしまいます。夜中近くになったところ、聖カブリエルがやって来て、「ジェンマ、お前まだノべナやってないよ。本当にそれでいいの?御恵みもらえないよ?」と。それで一緒に、ガブリエルと一緒にノベナをするのです、聖マルガリタ・マリア・アラコックのノベナ。水曜日、ノベナをしようと思いつつも、忘れて眠ってしまうと、やっぱりブラザーガブリエルがやって来て、「ジェンマ、ノベナどうなったの!?あんた本当に御恵みもらう気があるの?」とたしなめます。
すると聖ガブリエルは、このようなジェンマに、「むしろ、イエズス様の聖心のノベナをした方が良いよ」と教えてくれます。「一緒に聖心のノベナをしよう。そしてお前が忘れないように、天にましますと、めでたしと、それから栄唱を9回唱えよう。そして9日間一緒に唱えよう。同じ時間に唱えよう。そしてその9回唱えた後で、マルガリタ・マリアへのお祈りも唱えよう。栄唱を9回唱えよう」という事で、9回始めます。
そしてそのノベナを始めたのです。ノベナを始めたその9日目、最後の日が3月3日でした。初金曜日で、この初金曜日のノベナが終わった時に、実は奇跡的にジェンマ・ガルガーニは病気が治ってしまうのです。そして大聖人に変化します。
その時にはどんな事があったかと言うと、ノベナが終わって、するともうこれで終わったので、と言って、聴罪司祭を呼びに行ってもらいます。そして神父様はやって来て、そして告解を聞いて、御聖体拝領を授けます。御聖体拝領を授けてもらうと、聖ガブリエルがやって来てジェンマにこう言った、と書いています。
「ジェンマ、イエズス様に全ての約束を更新しなさい。そして、イエズス様に聖別された6月には、自分自身を奉献する事も約束しなさい。」
そこでジェンマは、御聖体拝領の後に、イエズス様への約束を新しく更新しました。そして「イエズス様にたくさんの事をお話した」と言います。そしてジェンマはとても幸せでした。
すると、イエズス様が今度はジェンマの心に語りかけてきました。ジェンマは後にこう書いています。
「娘よ、私はお前に、私の全部をあげる。私のものになりたいか?」イエズス様はそう仰るのです。ジェンマは後にこう書いています。「イエズス様は私から、私のお父さんも取ってしまったし、お母さんも取ってしまったし、そして時にはもう私は捨てられたと思って、もう絶望していました。でもその御聖体拝領したその時には、イエズス様はとても優しくて、とても親切で、こう仰いました。『娘よ、私はお前といつも一緒にいるよ。私はお前の父だ、父親だ。そしてこの方がお前の母親だ』と言って、マリア様を指した」と言います。
「私の手の中にある者は、決して父親の保護を失う事がない。だからお前は決して私の父としての保護を欠く事がない、足りない事がない。たとえこの世では、慰めや支援がお前から取り去られてしまったとしても、私がいつもいる。さぁ、私においで。私の娘よ。私の娘である事が幸せではないか?」とイエズス様は仰ったので、そしてその時にあまりにも幸せで、ジェンマは何も言う事ができなくなりました。
そして、こうやってイエズス様と親しい話をしている2時間の後に、ジェンマはあれほど体が麻痺して何も動かす事ができなかったにも関わらず、いきなり立ち上がって、健康になりました。皆それを見て、喜びの涙を流しました。ジェンマも言っています、「私も嬉しかったのです。でも健康だから嬉しかったというよりは、イエズス様の娘だ、という事が分かって嬉しかった」と言っています。そして「イエズス様が自分から離れる前に、こう言った」と言います。
「私の娘よ、私が今朝お前に与えた御恵みよりも、もっとすごい御恵みはこれから与える」と。
そしてその後、ジェンマは毎日御聖体拝領するようになりました。そして3ヶ月の後には、ジェンマは聖痕を体に受けました。まだジェンマがそれから生き延びた4年の間には、イエズス様は聖ジェンマ・ガルガーニに、大聖人だけが受けるような特別な御恵みや、特別な啓示、特別な事をイエズス様からたくさん受けて、そして聖徳の内に天国に行かれました。ピオ十二世は、聖ジェンマ・ガルガーニを1940年5月2日に列聖しました。
ジェンマ・ガルガーニがこのように大聖人になったのは、実は、イエズス様の聖心へのノベナがきっかけだったのです。私たちも聖ジェンマ・ガルガーニに倣って、イエズス様への信心を熱心に致しましょう。
聖父と聖子と聖霊との御名によりて、アーメン。