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名著「使徒職の秘訣」序説(Dom Chautard 著 山下房三郎 訳)

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アヴェ・マリア・インマクラータ!

愛する兄弟姉妹の皆様、

 名著「使徒職の秘訣」 Chautard, Jean Baptiste, Dom著 著,山下房三郎 訳を、兄弟姉妹の皆様にご紹介いたします。

 原著はL'Ame de Tout Apostolatで、聖ピオ十世会の神学生は、神学校入学と同時にこれを読むことを課されます。

序説

Ex quo omnia,     すべては、天主から
Per quem omnia,    すべては、天主によって、
In quo omnia.     すべては、天主のために
                         (ローマ 11 : 36 )

ああ、かぎりなく偉大、かぎりなく善良な天主よ。あなたの内的生命にかんして、信仰がわたしたちに啓示するもろもろの真理は、まことに感嘆すべきものです。また完全に、わたしたちを驚倒させます。
 聖なる御父よ、あなたは永遠から永遠にわたって、あなたの完全なイメージなる聖言(みことば)のうちに、あなたご自身を、静観していらっしゃいます。
 聖言は、あなたの美しさに見とれて、こころおどり、―かくて、あなたと聖言との双方のご恍惚から、無限愛の炎が、すなわち聖言が、発出されます。
 ああ、拝むべき三位一体の天主よ、あなただけがタダひとり“内的生命”でいらっしゃいます。―円満な、みちあふれている、そして終わりのない!
 はてしもなく善良な天主よ、あなたは、あなた自身を、その内的生命の外部にも、そそぎだそうとお望みになりました。あなたがひとこと、言葉をおだしになりますと、御手のわざなるすべての被造物は、虚無の中からおどり出て、あなたのもろもろの完徳をあらわし、あなたの栄光をうたいます。
 創造主なるあなたと、あなたのお息のひとふきによって造られ、そして生かされたちりにすぎない人間とのあいだには、無限にふかいふちがよこたわっていましたのに、あなたの霊なる愛の聖霊は、これをあとかたもなく、埋めつくそうとおぼし召されました。
 このようにして、聖霊は、愛したい、おのれを他の者に与えたい、というそのはてしないご意欲を満たす手段を、お見いだしになるのです。
 かくて、聖霊は、ちりにひとしい人間を、天主の境地にまで高め、これを“天主化”しようとのご計画を、あなたのふところで、おたてになりました。このご計画によりますと、御手によって、人間のかたちにつくられましたこのひとかたまりの土は、“天主のように”なり、あなたの永遠の幸福にあずかることができるのです。
 ああ、前にも後にも絶えてあるまじき、愛の奇跡でありますことよ―このご計画は!
 この驚嘆すべき大事業の達成を、あなたの聖言は、みずから進んで、お引き受けになります。
 かくて、聖言は、人となられました―人間を“天主”にするために!(聖アウグスチヌスの言葉)
 しかし、聖言よ、あなたは人におなりになっても、“御父のふところ”を絶対に、お離れになりません。
 「御父のふところ」―ここにこそ、あなたのご生命の実質があるのです。ここにこそ、あなたのご生命の源泉があるのです。ここからこそ、あなたの使徒職の、賛嘆すべきすべての活動が、流れでているのです。
 ああ、イエズス、わたしたちとともにいます天主―エンマヌエルよ、あなたは使徒たちに、あなたの“福音”と、あなたの“十字架”と、あなたの“ご聖体”を、おあずけになりました。さらに、全世界に出て行って、すべての国民に福音を述べ伝え、天にいますわたしたちの御父のために、無数の子どもをもうける―という使命を、かれらにお授けになりました。
 それがすむと、あなたは、御父のみもとに、お帰りになりました。
 それ以来、天主の人イエズス・キリストの神秘体を聖化し、これを統治する任務をお引き受けになりましたのは、聖霊よ、あなたでございます。
 神秘体の頭なるキリストから、肢体なるわたしたち信者の霊魂に、“天主的生命”をそそぎ入れるためのお仕事に、聖霊よ、あなたはかたじけなくも、人の子らの中から、協力者を、助手を、お選みになりました。聖霊降臨のよき日、天からふりそそいだ天主の火に燃えさかった使徒たちは、全世界に出て行って、天主のお言葉を、人びとに述べ伝えて、その精神を照明し、天主の恩寵を、人びとの心にそそぎ入れて、天主の愛に燃えあがらせ、―このようにして、あなたが、ご自身のうちに、あふれるほどに持っておいでになる“天主的生命”を、あまねく世の人びとにも、わかちあたえられるのでした。

 ああ、天主の“火”よ。ああ、イエルザレムの高間のしあわせな黙想者なる使徒たちを、一瞬にして別人にされました聖霊よ、あなたの使徒職に参加するすべての人の心に、主を愛する熱心の火を、燃えさからせてください。そういたしましたら、かれらはもはや、ただカトリックの教義や道徳の説教者となるだけでは満足せず、さらに進んで、キリストの尊い御血を、人びとの霊魂にそそぎ入れる、生ける“輸血者”となるでしょう。
 光の聖霊よ、どうぞ使徒職にたずさわる人びとの心に、次の真理を、不滅の文字をもって、きざみつけてください。すなわち―
「かれらの使徒的活動は、あなたを究極の原理とし、イエズスを唯一の源泉とするこの超自然的生命を、かれらが自分自身で生きぬく度合いに応じてのみ、効果を生ずるものである。」
という真理を!
 ああ、無限の愛なる聖霊よ、どうぞかれらの心に、内的生活にむかっての、はげしいあこがれの火をたきつけてください。あなたのおやさしい、ちからづよい愛の火花で、かれら
の霊魂を浸透し、そしてかれらに深くさとらせてください。―うつし世の旅路における、まことの幸福は、ただ内的生活のいとなみにだけある、ということを。
 そして、この内的生活とは、一切の慈悲の父、一切のやさしさの父なるあなたのふところでいとなまれる、あなたご自身のご生活と、イエズスの聖心のご生活を、できるだけ忠実に模倣し、かつこれに参与することにほかなりません。
 ああ、原罪のけがれなき聖処女、使徒の元后なる聖母マリア!どうぞ、このつたないページを祝福してください。これを読むすべての人に、次の真理をふかくさとらせてください。―天主が、その恩寵を、人びとの霊魂にそそぎ入れるため、摂理のふだんの道具として、使徒職にたずさわる人たちの活動をお使いになるとき、かれらの活動がゆたかな実をむすぶためには、どうしてもその活動が、「ある仕方で、天主ご自身の活動に、参与せねばならぬ」―という真理を。
 そして、あなたこそは、受胎告知の日、聖言がご胎内で人となられた瞬間、永遠に不動、永遠に静かな、この”天主ご自身の活動”が、御父のふところでいとなまれているのを、静かに眺めておられたのです。そして、聖言のご托身のおかげで、わたしたちはあなたを、”われらの母”とお呼びすることができるのです。

(続く)


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